ロックバンドは座っても観られる。
マスクしてようが、座ってようが、ロックバンドのライブはロックバンドのライブ.
新たなライブ型式のメリットとロックバンドの不変を体感した夜でした.
ということでロックバンドUNISON SQUARE GARDEN(ユニゾン)の有観客でのツアーLIVE (on the) SEATの初日,新潟公演に行ってきた話です.
このご時世にライブに行くという行為自体に,賛否もあれば,行きたいけど不安という葛藤もあると思います.
実際問題,今どんな対策を講じて開催されているのか,行ってみた人間目線で書いてみようと思いますので,行く,行かないの一つの参考となれば.
ライブ概要
7月~9月に3回の配信ライブを行ったユニゾンが,新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに則り,万全を期して開催するライブツアーLIVE (on the) SEATの概要です.
LIVE (on the) SEAT
日程:
2020/10/3(sat) 17:15/18:00 新潟県 テルサ
2020/10/4(sun) 16:00/16:45 宮城県 サンプラザホール
2020/10/4(sun) 18:45/19:30 宮城県 サンプラザホール
2020/10/9(fri) 17:30/18:30 静岡県 静岡市民文化会館大ホール
2020/10/10(sat) 16:00/16:45 三重県 四日市市文化会館
2020/10/10(sat) 18:45/19:30 三重県 四日市市文化会館
2020/10/14(wed) 16:30/17:30 東京都 東京ガーデンシアター
2020/10/14(wed) 19:30/20:30 東京都 東京ガーデンシアター
2020/10/15(thu) 17:30/18:30 東京都 東京ガーデンシアター
2020/10/18(sun) 15:45/16:45 北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2020/10/18(sun) 18:30/19:30 北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2020/10/23(fri) 18:00/18:30 香川県 サンポートホール高松
2020/10/25(sun) 16:00/16:45 滋賀県 びわ湖ホール
2020/10/25(sun) 18:45/19:30 滋賀県 びわ湖ホール
2020/11/1(sun) 16:00/16:45 岡山県 倉敷市民会館
2020/11/1(sun) 18:45/19:30 岡山県 倉敷市民会館
2020/11/2(mon) 18:00/18:30 広島県 上野学園ホール
2020/11/7(sat) 16:00/16:45 福岡県 福岡サンパレスホテル&ホール
2020/11/7(sat) 19:15/20:00 福岡県 福岡サンパレスホテル&ホール
2020/11/17(tue) 17:45/18:30 埼玉県 大宮ソニックシティ
2020/11/19(thu) 16:30/17:30 大阪府 フェスティバルホール
2020/11/19(thu) 19:30/20:30 大阪府 フェスティバルホール
2020/11/20(fri) 17:30/18:30 大阪府 フェスティバルホール
2020/12/4(fri) 17:45/18:30 栃木県 宇都宮市文化会館
2020/12/11(fri) 16:45/17:30 愛知県 センチュリーホール
2020/12/11(fri) 19:45/20:30 愛知県 センチュリーホール
チケット:
価格:¥4,600(税込)
※全席指定
※全券種:チケットぴあ「tixeebox」1人1枚購入可
※小学生以下入場不可(中学生以上チケット必要)
※公演は60分程度を予定
15会場で26公演の全国ツアーとなっています.
多くの会場で1日2公演制が導入されています.ガイドラインに沿って収容人数を減らし,かつ公演時間も短くしている中でチケット料金を抑えるために最近のライブではよく導入されていますよね.
とはいえチケット料金が\4,600というのは存外安いな,というのが正直な感想.
2019年に開催された全17公演の全国ホールツアー「Bee side Sea side 〜B-side Collection Album〜」のチケット料金が\5,500だったので,むしろ値段下がってますやん!っていう.
オフィシャルブログの中で田淵氏が今回のライブに関して『今回はアルバムツアーではなく、それこそ生きてたロックバンド発見生バージョンというものを気楽な気持ちでやりたいと思っている。』と表現しています.
様々な制約がある中で開催するライブだけに,“気楽な気持ち”で来れるようにという配慮の一端が伺えますが,正直この値段設定でいいのか?と逆に心配になります,こちらとしては.
個人的にも色々と考えて最初は参加を見送ろうと思っていたものの,9月に配信されたfun time HOLIDAY ONLINEを見た後に,色々あって結局『よし,行こう』となったのですが,ガイドラインに沿った配慮と共にこの金額設定も一因ではあったかなと思いますね.
開演までの流れ
事前準備
今回は当日ライブ会場に行くまでにする準備がいくつか.
その辺も含めてなんと会場ごとに個別の詳細な独自のガイドラインをオフィシャルで用意してくれています.
感染拡大ガイドラインに関しては都道府県個別に設定されているものもあるため,各会場ごとに作成しているのだと思いますが,これだけでも感染拡大防止に本気も本気で取り組んでいるのが伺えるというもの.
COCOAのインストール
まずは厚生労働省の提供している新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」のインストールが必須となります.
ライブ当日入場時に確認されるため,事前にインストールしておくのが無難と思います.
このアプリ自体は不具合含めてよくない評判も目にしますが,大規模に人を集めてイベントをやる以上,国として推奨している対策を講じる必要がありますからね.
独自にこういったアプリやサービスを推奨している自治体もあるので,公演よっては追加でなる他のアプリのインストールや設定が必要になることもあるのかなと思います.
チケットのダウンロード
今回のライブチケットは電子チケットアプリ「tixeebox」を使った型式となっています.
若干流れが煩雑だなと感じたのですが,チケットぴあで購入⇒ぴあのチケット保管サービスであるCloakで受取⇒Cloakからtixeeboxに分配⇒tixeeboxのアプリにチケットダウンロード,という手順になります.
当日はtixeeboxアプリを見せて,もぎり操作をして入場することになるので,チケット購入だけでなく,tixeeboxアプリのダウンロードと,アプリへのチケットダウンロードまで済ませておく必要があります.
紙のチケットを使わないことで,接触の機会をなくせるため,電子チケットも今後は今まで以上に使用されるんだろうなと思います.
今回は複数のサービスを跨いでのチケット準備が必要なので煩雑さがありましたが,その辺は今後改善されていくことに期待.
ここまでやっておけばあとは体調に気を付けて当日を迎えるのみ!
当日の入場までの流れ
tixeeboxにダウンロードしたチケットに座席番号と合わせて当日の集合時間が記載されていました.
入場時に際して,一斉に人が集まって密な状態になるのを避けるために座席ごとに集合時間がいくつかに分けられています.
遅めにチケット買ったので座席も集合時間も遅めだったので,車で移動して会場に早く着いていたものの,時間になるまでは駐車場で待機.
集合時間目指して会場前に行くとスタッフさんが入場可能な座席をアナウンスして,自分が入れるようになるまでは入口付近で待機.
入場にできるようになると,まず入口前でCOCOAの画面を見せて,インストール済であることを提示して入場.
ホールに入るまでの入場列も足元の印を目安に間隔を空けて整列.
ホール入口前での検温はよくある非接触の体温計ではなく,サーモグラフィー使って自動.スタッフさんにtixeeboxのチケット画面を見せて,もぎり操作も自分で実施,その後に手指の消毒をしてようやくホールに入れました.
通常もぎり操作はスタッフさんがやるようですが,今回は接触を避けるため自分で行って,その操作をスタッフさんが目視で確認する形でした.
後は自席に座って開演を待つのみですが,会場内の至るところに手指消毒用の液体が設置されており,更に会場内はダスキンのシャツを着た方が巡回して適宜消毒する徹底ぶり.
そう,今回のライブはクリーンパートナーとしてダスキンが会場内の清掃・消毒を行っているのです.
ロックバンドのライブパートナーにダスキン.コロナ以前は想像だにしていない組み合わせですが,餅は餅屋,清掃は清掃のプロ.
『ダスキンが巡回衛生清掃を実施しています』の安心感は半端ないです.
座席はもちろん隣の人と間隔を空けるため,1席おき.当然間が空いている分の寂しさはありつつも,それでも新潟テルサは1510席あるので,単純計算で750人程が集まっているわけです.
これだけの人とライブを共有できるところまで来たのか,と思うとただライブ観に来た客の身分ですが感慨深いものがありましたね.
ライブの感想
ライブ本編
開演に先立ち,注意事項等のアナウンスがあったのですが,まず驚いたのがアナウンスの冒頭で,『ライブ開催までの間に,様々なご協力をいただきありがとうございます』と一言あったこと.
確かにアプリのインストールや時間差入場等々,これまでのライブ参戦とは異なる制限があったのは事実ですが,むしろこちらこそ様々な制約あるなかでライブ開催してくれてありがとう,と思っているくらいなので,この一言が出てくる主催側の気持ちがこそが有難かったですね.
ほぼ定刻で会場が暗転.
一切声が出せないので開演前もホール内は静まり返っていたのですが,幕が閉じたまま暗闇の中に斎藤さんの声が響き渡った時に,歓声でなくより一層ホール内の空気が静まり研ぎ澄まされ,声だけが耳に届いたあの間隔は震えましたね.
幕が開きステージ上には照明と楽器と3人のみ.派手なセットや飾りはなく,必要最低限といった形でしたが,今はもうそれで十全.
1曲目「クローバー」に会場中が聞き入った後,始まった「フルカラープログラム」
照明も一気に明るくカラフルに,鳴る音もメンバーの動きも弾けたところで,ステージ後方からせり上がってくる巨大なバックドロップ.
会場中に一気に熱気が充満すると同時に思い思いに上がりうねるお客さんの腕.
後方で会場全体が見渡せたからこそ,あの瞬間の「ライブに帰ってきたぞ!」感たるや.
そこから「フィクションフリークライシス」を経ての斎藤氏の言葉
『久々のライブ,エモいぜ』
みんながそう思っていたはず.
続いて「誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと」,「セレナーデが止まらない」と,ここまで5曲にリリースしたてのアルバム「Patrick Vegee」の曲は一切なし.
事前に「Patrick Vegee」のツアーではない,と明言されていた通り,至って普通に(やや熱量高めに),いつも通りのユニゾンがそこにいるだけ.
最初に演奏されたアルバム曲はPVも公開されている「世界はファンシー」
当然会場にいる人間,初めて眼前で見るのだけど,『HAPPY』の揃いっぷりときたら.そして間奏のギターfantasticでした.
「君はともだち」に聞き入った後に,ようやくちゃんとした?MC.
人前でのライブが8か月ぶりということで楽しさをにじませつつ,『人前で喋るのも8か月ぶりなので…』と喋りがどことなくたどたどしいことは容赦してほしい雰囲気を出す(笑)
『よりによって今日は反応できないよね』と拍手以外のリアクション取りあぐねている我々のことに言及しつつ,見てわかるくらい細い目で温かく見守ってほしいと.
次いで今回はあくまで『生きてますよ』ということを全国言って回る,互いの生存確認のツアーで「Patrick Vegee」のツアーはまた別でやりたいという話も.
そんな話の後ろでドラムを鳴らし茶々いれる鈴木氏(笑)
そんな茶々すら『茶々入れられる感じも久々』と笑う斎藤氏.
アルバムのツアーではないけどここで新曲やっていいですか,と前置きして始まったのがこれまたPVが公開されている「夏影テールライト」
ここからアルバム曲順通り「Phantom Joke」
「Patrick Vegee」は歌詞で分かりやすくアルバムを曲順通りに聞く意味を明示してくれているけど,ライブでも順番通りだとテンション上がりますね,コレ.
『幻に消えたなら ジョークってことにしといて。』から「Phantom Joke」のイントロ聞こえてくるわけですからね.
そこから今日も足上がってるなーと思いつつの「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」,on the SEATでの「ライドオンタイム」
この時点での盛り上がりは最早見慣れたいつものライブのソレ.
最後は「harmonized finale」
ライブの締めくくりがこの曲なのはズルい(何もズルしてないけど).
今の状況で聞くこの歌詞,特にラストの1節をピンスポ当たった斎藤氏ソロで聞いてた時は沁みに沁みましたね.
そして楽器を置いて退場する斎藤氏.
いつの間にやらステージ後ろのバックドロップには『see you NEXT LIVE』の文字.
終わって時計を見ると19時過ぎ.
本当にきっかり1時間のライブがこうして終了.
終わりを惜しむ拍手が鳴り続ける中,スタッフさんが規制退場のアナウンスをして,出入り口に近い列から1列ずつ誘導されながら退場.
そのまま「ライブの余韻は自宅で」のガイドラインに沿って,各々直帰なのでライブ終わって10分しないうちには車に乗って駐車場から出発して帰路についているスピード感でした.
雑感
堂々と座って観れるというメリット
今回のライブは『ロックバンドは座っても観られる』と謳っているわけですが,個人的にはそれはコロナ以前から分かっていたこと,というのが本音.
周囲に迷惑が掛からなければ,そもそもライブの見方は自由で,立っていようが,座っていようが,全身で盛り上がろうが,じっくり聞き入ろうが,そこに元より制約はないはず.
とはいえ,たとえホールライブであっても大体は立って盛り上がる人が多いわけで,座っていると人に遮られて見にくかったりもします.
そんな周囲環境もあって本当は座ってみたいけど,そうもいかない,みたいな人にとっては待ってました!という感じではないかなと思います.
それに田淵氏もブログで座って観ることで楽しさが目減りすることはないとの意見を出していますが,今回のライブ中の客席を見ていればその通りであることは自明.
もちろんコロナ禍で生で見ることが叶わない状況を経てのライブだったことも要因とは思いますが,それを差し引いても着席だろうが,マスクしていようが,楽しいものは楽しいと私も思います(実際今回めっちゃ楽しかった).
事前の宣言通りの60分というコンパクトさ
長時間,大量の人が一つの空間に留まることはまだ難しいという事情もあってかライブ本編は事前宣言通り60分と,通常のワンマンライブよりはぐっと短くまとまっています.
もっと曲を聞きたいという気持ちもありつつ,集中してみる分には程よい長さであったかなと思います.
何より事前にライブの予定時間が60分であることがアナウンスされていたので帰りのスケジュールも立てやすかったですし,60分であるが故に普段以上に集中してライブに入り込めた気もします.
長時間できないからこそ,限られた時間に集中することで,濃密かつ没入できる空間になったのかなと思います.
それが田淵氏の言う短いからこそ生み出せる魔法なのかなと.
まとめ
ユニゾンの8か月ぶりの有観客ライブとなったLIVE (on the) SEATの初日,新潟テルサ公演について書きました.
マスクしてようが,座ってようが,ロックバンドのライブはロックバンドのライブ.いつものユニゾンがいつものようにライブして,我々がいつもとちょっと違うスタイルでいつも通り盛り上がっていた.それだけ.
いいライブでした,本当に.
堂々と座って楽しめる.このメリットはむしろコロナ以前にそこに存在していた閉塞感を打破することになったのではないかと個人的に思います.
また参加してみて,本当に必要以上に念入りに,しっかりと確実に感染拡大防止に取り組んでいましたし,安心安全にロックバンドを楽しめる空間がありました.
こうしてお互いが生きてた!やったぜ!っていうライブを開催してくれた有難さを噛みしめつつ,もし迷っている人がいるなら行こうぜ!って大手を振って言えるライブだったと思います!
2020/10/03 LIVE (on the) SEAT 新潟テルサ Set list
1. クロバー
2. フルカラープログラム
3. フィクションフリークライシス
4. 誰かが忘れているかもしれない僕らに大事な001のこと
5. セレナーデが止まらない
6. 世界はファンシー
7. 君はともだち
8. 夏影テールライト
9. Phantom Joke
10. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
11. ライドンタイム
12. harmonized finale