音楽雑記

ライブハウスの再開は…

先週のブログで2020年5月末時点のライブハウスに関する休業要請の状況や,各自治体によるガイドラインなどを整理しましたが,その後1週間が経過して少なからず動きがありました.

ガイドラインに沿ったライブを行ったライブハウス,営業再開を見据えて新たな試みを探るライブハウス,などなど千差万別.

個人的に気になったところをピックアップしつつ,今後どうなっていくのかなと考えていこうかなと思います.

国のガイドライン

ライブハウスなど営業ガイドラインまとめる(日テレNEWS24)

上記ニュース記事にはガイドラインについて以下の記述があります.

政府はキャバレーやホストクラブなど接待を伴う飲食業やライブハウスについて、営業するにあたっての感染防止策をまとめた業界別のガイドラインを来週中にもとりまとめる方針です。

日テレNEWS24

東京都を始めとして6月頭の時点で7都県(茨城,埼玉,千葉,東京,山梨,岐阜,福岡)がライブハウスも含めた,クラスター発生歴のある業種に関しては,休業要請を継続しています.

7都県によっても対応は異なっていますが,6月18日迄の休業要請が延長されなければ6月下旬からは営業再開可能,ということで来週(6月8日~12日)中にガイドラインを取りまとめる,ということと思います.

が,既に7都県以外は自粛要請は解除されており,一部営業を再開している場所もある中で,未だに国全体で目安となるガイドラインが定まっていないのは,やはり遅いと感じますね.

そのような状況下で各自治体が独自に定めたガイドラインがあるわけですが,それらに従って対策する場合に収容人員やイベントのオペレーション面で営業するには厳しい側面もあるので,余計にガイドライン内容を定めるのが難しい面もあるとは思いますが.

再開したライブハウス

集客してのライブ

お客さんを入れてのライブが難しい状況下ではありますが,休業要請が会場になって早々に,集客してのライブを行ったことがニュースになっていましたね.

ビニール幕で仕切り熱唱 大阪・アメ村のライブハウス再開(産経フォト)


大阪府は賛否はありながらも,様々な独自の施策を講じてきていますが,ことライブハウスに関しても,クラスター発生時の施設名公表の段階から,少なからず配慮をしている印象です.

休業要請の解除にあたっても,独自のガイドラインを公表しています.客席は原則着席で2mを目安に最低でも1mの間隔を確保,ステージ前に透明なアクリル板やカーテンを設置,などこれまでのライブハウスとはかけ離れた内容だけに,賛否が巻き起こっていますが,何もないよりはマシだと個人的には思っています.

指標が何もない中で,仮に営業して問題が起きるとその良否についても過度に施設側が攻め立てられる可能性もありますし,ガイドラインがあり,それを守れっていれば,問題が起きた際は府側に責任がある,ということになるので.

そんなガイドラインに沿ってライブを行ったのが大阪のライブハウスANIMA.記事によると通常キャパ(収容人員)350人に対して,1m間隔で着席スタイルとした集客は49人とのこと.通常キャパの10%強.

ライブを行ったバンドのホームぺージ見ると,チケット代はドリンク代別で\3,000とのことなので,正直興行として採算が取れるレベルではないかと思います.

まずは決められた枠の中で,今できることにトライしてみた,実験的な意味合いが強いのかなと感じますが,何より先陣切ってやってみたのが凄いところ.

ただ,この他に集客ライブを再開した,という話はあまり聞こえてこないので,細々と再開しているところもあるのでしょうが,現実としては様子見半分,ガイドライン通りだと集客するのが厳しいのが半分,といったところでしょうか.

営業再開に向けた新たな試み

TwitterのTLで流れてきて面白そうだなと思ったのがこのツイート.

こちらも大阪にあるライブハウスFireloop

ステージを透明な板やカーテンで仕切る,というのが各自治体のガイドラインにおおよそ明記されているわけですが,ただ仕切りをするのではなく,それを透過スクリーンにしてしまえ,という発想.

使っているのはアミッドスクリーンらしい.

DILADなどの高価な透過型スクリーンフィルムの代替として生み出されたものらしく,その名の通り網戸!を使った手法とのこと.

もちろんデメリットはある程度あるものの,アミッドスクリーンと透明アクリル板であれば,思っているよりは安価に透過スクリーンを使えるようになるみたいなので,色々と可能性は広がりそうですね.

配信の動きが本格化

配信プラットフォーム整備の流れ

今のところ集客してのライブが難しいということで,やはり各所でライブ配信が主流となりつつあるのを感じます.

Youtube,ツイキャス,SHOWROOM,LINE LIVE,等々配信を行えるサービスは山ほどありますし,各々有料配信であったり,所謂投げ銭的な課金の方法であったり,商売を行うこともできますからね.

既存の動画配信サービス以外にも,ここ最近で大手のプレイガイドなども独自の動画配信サービスを整備してきています.

上記何れもライブのチケットを購入する点は従来通り.購入したチケットでライブハウスに入場するのではなく,動画の視聴権が得られるのが相違点.

プレイガイドで買う,という馴染みのある形態であり,プレイガイドによるプロモーションであったり,場合によっては撮影環境のサポートもあったりするみたいなので,これから使われる機会は増えそうな気もしますね.

行政による配信事業のサポート

配信が加速しそうな要因としてもう一つあるのが行政によるサポート.自治体によっても異なるでしょうが,ここでも動きがあるのは大阪府.

「大阪府文化芸術活動(無観客ライブ配信)支援事業」と称して,緊急事態宣言に伴い,営業自粛していた事業者が配信事業を行うにあたり生じた費用を最大70万円まで補助するというもの.

この事業のプロモーションとして6月7日16時から大阪所縁のアーティスト3組(BURNOUT SYNDROMES,矢井田瞳,KANA-BOON)が大阪のライブハウスから無観客ライブ配信を行っています.


更にこの支援事業の対象となった公演を公式HPで一覧として紹介しており,これによって配信がより一層進むことも大いにあり得ると思えます.

これは大阪府の事業ですが,ことコロナ関連の各自治体の対応を見るに,他の自治体でも追随というわけでもないでしょうが,同種の試みが行われることも予想されます.
(私が不勉強なだけで既に実施している自治体があるかもしれません)

今後気になること

しばらくの間はライブ配信が主流となるのは間違いないと感じていますが,気がかりなのはライブハウスの扱い.

入場時にドリンク代を支払っていることからも分かりますが,ライブハウスの業態はあくまで飲食業

なので配信のみを実施するスペースと化した場合に,ライブハウスがどういう扱われ方をするのか,が気になっていたりします.

もちろんコロナ禍で特例的なことになると信じていますが,場合によっては配信だけではダメで,少なからずお客さんを入れる,ということも必須になってくるのかもしれません.

その場合も1~2mの距離を空けて,着席というスタイルが想定されるので,ライブへの参加よりも観覧に近い形となるかなと想像できます.

集客しての営業,ということも徐々に進んでいくとは思いますが,今まで当たり前であったライブハウスでライブを見る,という行為が,当たり前に戻る日が来るのはまだまだ先になりそうですね.

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