Gacharic Spin

ライブハウスの現状調べてみた

世間では新型コロナウイルスの感染者数増加と大雨による災害が話題になっており,なかなか開けない梅雨空同様にどんよりとした雰囲気が漂っていますね.

そんな中でも予定通り?大規模イベントの動員人数は5000人まで緩和され,今週末からはプロ野球やJリーグでも観客を入れた試合が始まっています.

観客が入ってのスポーツの試合が行われていること自体は歓迎すべきことですが,ここ最近の状況下にあっても,ただただ注意喚起されるだけの状態で感染リスクに対する国や自治体としての明確な対応が見えない中での実施に,正直なところ不安を覚えます.

そして気になることはもうひとつ.

そうやって色々な事項が感染防止対策と経済対策のバランスを見ながら緩和されていくなかで,未だにライブハウスという場所が置き去りにされている感じがしています.

6月中旬に国からガイドラインが示されて1か月程経過していますが,その後特段状況に変化はなく,営業自粛要請は解除されたとはいえ,まともにライブハウスが営業できているとはいえない状況が続いているように思えます.

実際のところ,今どうなっているのか,自分でも興味があるので,このブログでもずっと取り上げているガールズバンドGacharic Spin (ガチャピン)のツアーで行く予定であったライブハウスを参考に調べてみました.

ブログの内容

・ライブハウスの営業再開情報
・各地のライブハウス毎の対応実例

ライブハウスの現状

ガチャピンが今年行う予定であった47都道府県ツアーのスケジュールがこちらです.


47か所のライブハウスのHP,Twitter等を見る限りでは,大半のところは6月,7月で営業再開しています.

営業再開,とはいっても,国や各自治体の示すガイドラインに沿った対応を行うと,方々で言及されている通り,通常キャパの1割程しかお客さんを入れることができず,現実問題採算がとれるレベルでの通常営業は至極困難なのが実情です.

実際各ライブハウスのスケジュールを見ても,当初予定の公演延期のお知らせばかりで,新たに集客してのライブを行ってる数はものすごく少ない印象です.

やはりガイドラインの中で現実的にとれる策を模索していたり,割り切って配信などの別の手段を取り続けることを選んだり,探り探りで小規模な興行から始めてみたり,クラウドファンディング等で資金調達しながら耐え忍んでいたり,営業再開で即集客ライブとはいかないのだと思います.

なのでガチャピンのツアーも9月以降は今のところ様子見で,延期するのか形態を考えて実施するのか,まだアナウンスはされていません.

今の状況を考えると,この1,2か月で状況が劇的に好転するとも思えないのでおそらく年内は厳しいのかなと思っています.

各ライブハウスの対応

47か所調べてた中で,当然ながら各都道府県ごとに対応もことなりますし,ライブハウスの立地やキャパも異なるので,当然ですがライブハウスの対応も差異はありました.幾つか整理も兼ねて下記に対応纏めてみます.

Veats Shibuya

東京・渋谷にある,ビクターエンタテインメント直営のライブスペースです.渋谷駅から徒歩で5分程の場所にあり,通常のキャパはスタンディングで700人と,ライブハウスの中では大きい規模の会場です.

4月から営業自粛しており,その間に配信ライブなどで利用されていましたが,7月からはイベント営業を再開しており,集客してのライブも予定されています.

その中で店舗としての対応をHPに記載しており,その一部を抜粋します.
全文はHPで確認してください。

Veats Shibuya営業に関するお知らせ

Veats Shibuya営業に関するお知らせ(一部抜粋)
  • 東京都のロードマップに沿っての客席内の入場者数を制限。(B2エリア98名まで。B1関係者エリア10名まで)
  • ステージと最前客席の距離を2m確保。
  • 客席内は原則着席。お客様同士の距離は1mを推奨。
  • 入場時「質問票」をご記入いただきます。
  • フェイスシールド着用を必須と致します。会場内では必ずご着用をお願いします(受付でも販売。400円)。
  • マスク着用でのご来場にご協力をお願いします。

現時点での対応としてキャパが98名と記載されています.通常キャパに対して15%程度の人数しか入れないですね.

入場時に質問票を記入というは他のライブハウスや施設でも実施している対応ですが,目を引くのがフェイスシールド着用必須という文言.

多くの場所がマスク必須としている中で,フェイスシールド必須としているのが珍しい印象です.来場時はマスク着用を呼び掛けているので,ライブハウスの中ではマスク+フェイスシールドになるんですかね…

ライブハウスとしての対応を明記して営業再開していますが,7月入っている予定も少なく,その大半は配信での使用ということで,集客してのライブはオペレーションも含めてまだまだ厳しいのでしょうね.

名古屋Electric Lady Land

名古屋市内の歴史あるライブハウスで,名古屋駅からは地下鉄で2駅,地下鉄鶴舞線大須観音駅から歩いて直ぐ,周辺にコインパーキングも多数あり,アクセスのし易い立地です.通常キャパは600人程で,建物3回はキャパ300人程のell.FITSALL,すぐ近くの建物にキャパ150人程のell.SIZEがあります.

こちらも7月に入って営業再開しておりライブハウスとしての対応がHPに掲載されています.

営業再開に伴う新型コロナウイルス感染拡大防止対策とお客様へのお願い

営業再開した直後の7月3日には田村直美さんのライブが開催されています.

Electric Lady LandのHPの対策以外におそらく出演する方向けと思われる会場使用のガイドラインが田村直美さんのHPに掲載されていたので,そちらを抜粋したものが下記です.全文はHPを確認してください.

Clockworker Presents 田村直美 〜A面B面やりたい放題Evolution〜 開催のお知らせと名古屋公演に関しましてのご案内

ElectricLadyLand 会場使用ガイドライン(抜粋)
  • 1人1人の間隔を空けて座席を設置
    (キャパ:78名<物販スペースなし> / 72名<物販スペースあり>)
  • ステージと客席の間隔を取る(約2m)
  • 来場者全員必ずマスク着用(持っていなければ購入して入場)
  • 入場時、来場者全員の検温
  • 入場時、お客様のご連絡先ご記入のお願い

こちらも現時点での対応キャパが明記されており,通常600人に対して物販スペースを設けると72人となり,12%の収容率となります.

Electric Lady Landはフロアに段差が設けられており,前段,中段,後段の3段階になっています.これによりフロア後方でも人で隠れてステージが見にくい,といった事態が緩和されるので見やすいライブハウスなのですが,今回のように客同士の距離を確保する上では,段差があることで,より収容率が下がってしまうのかもしれませんね.

後は他の施設と同じく,マスクの着用,検温,連絡先の提出といった対応が取られているようですね.

umeda TRAD

JR大阪駅から徒歩10分程にあるキャパ700人程のライブハウスです.商店街のすぐ近くに立地しており,ライブハウス前の敷地もそこまで広くないのでキャパ通りの人が集まると敷地からはみ出て道を塞いでしまうので,敷地内に入るよう強くアナウンスがあったり,整理番号別に集合時間を分けて時間差で入場したりしているのが印象に残っています.

こちらもお店のHPに対策が掲載されており,営業は行われています.

イベント開催における新型コロナウイルスを含む感染症の予防および感染拡大防止対策への取り組みとご来場のお客様へのお願い

umeda TRADの感染防止対策(抜粋)
  • ご入場前に、非接触体温計による検温を実施します。その際、問診による事前申告及び大阪府「コロナ追跡システム」へのメールアドレスご登録にご協力いただけますようお願いします。
  • ご来場のお客様はマスクの着用をお願いします。
  • ご入場されてからは、できるだけお客様同士の会話はお控えいただき、立ち止まってのご歓談は自粛してください。

こちらはホール内の間隔確保やキャパに関しては明記されていませんでした.来場に際して,検温やマスクと合わせて大阪独自で展開している「コロナ追跡システム」を導入しているのが特色ですね.

人数に関しては実際に行われるライブを見てみると,7月26日に開催予定のAngeloのライブでは定員約70名と記載されています.

Angelo LIVE

配信も併用するようで,機材などの費用もあると思いますが,1ドリンク込み,会場配布の布マスク及びコットン手袋も込みでチケット料金が\18,000(税込)という値段設定になっています.真面目に採算考えるとこうなってしまうのも止む無しという感じですかね.

またTRADでは面白い試みもやっていて,近隣のホテルとコラボした企画を現在実施中です.

TRADへ行こう(ホテル近畿)

TRADから徒歩1分のホテル近畿の対象プランで宿泊するとTRADのドリンクチケットが貰えるというもの.

関西2府4県の方が対象ですがキャッシュレス決済だと還元分を考慮すると、実質5,200円(税込)で宿泊に加えてドリンクチケットが貰えます.しかも洋室シングルでドリンクチケット6枚!らしいので太っ腹.

更にTRADでライブを見る旨を伝えると,宿泊しない人でも荷物一つあたり700円で預かってくれるクロークサービスもしてくれるとのこと.

TRAD敷地にもロッカーはありますがスーツケースなどロッカーに入らない荷物などがある場合は結構有用なサービスな感じがします.

こうしてライブハウス単体ではなく周辺施設とコラボする企画は今の状況乗り越えるうえで,面白いし,利用者も施設側もメリットあるのでよいなーと思います.

広島 SECOND CRUTCH

広島市内にあるライブハウスで広島駅から路面電車で八丁堀まで行き,そこから徒歩数分の場所にあり,通常キャパ250人の会場です.

こちらはライブハウスの対応調べる中で,来場者に向けても分かりやすく明示しているな,と思ったので取り上げました.

お店のTwitterにも掲載されていますが,ピクト付きで分かりやすく来場者への対応とお願いを纏めています.

地域によって多少の差はあれど,これに明示されていることが,今ライブハウスという場所が取っている対応と思います.

これとは別にHPには出演者や会場側の対応も纏められています.その一部を抜粋したものが下記です.

新型コロナウイルス感染防止ガイドライン(抜粋)
  • セカンド・クラッチの場合、定員人数は、【46 人まで】となります。
  • 物販は、各アーティストからメンバー 1 人 or スタッフ1人のみ物販対応可。ソーシャルディスタンスを保ち接客。
  • 開場から開演までの時間を通常の 30 分間から 15 分に設定、リハーサル・本番共に出演アーティストの持ち時間短縮等、可能な限りコンパクトなタイムテーブルで進行。
  • 1 時間に 15 分程度換気を行い、その際に消毒なども行う。換気時はライブ中であっても 1 度中断し行う。

キャパは46人まで,と明記されており,通常キャパ250人に対して18%程となっています.

またライブの進行について,タイムテーブルのコンパクト化やライブ中の換気など,細かく明記されています.

通常のライブ形態とは程遠いですが,これだけ明確に線引きされているとお客さんも演者も,どうすればよいか悩むこともないので,分かりやすさという面では秀でているなと感じます.

実際セカンドクラッチのスケジュールを見ると,結構ライブ・イベントが開催されているようで,採算面では苦しいとは思いますが,ライブハウスとしてやるできる範囲で,歩みを進めている印象です.

富山 SOUL POWER

こちらは富山にあるライブハウスですが,他とは異なる選択をとっています.

それが,一時撤退

コロナ禍での偏見差別,誹謗中傷などによる危険及び通常の営業再開が当面適わない中で固定費等の支出を続けて負債を抱えるリスクを考慮して,今の場所での営業を終了する決断を下したとのことです.

ただ,あくまで一時撤退であり,支援を受けた資金等は次の活動のために手を付けずに置いてあるとのことなので,コロナウイルスが収束又はワクチン等の開発により対処ができる環境が整った暁には,またどこかで営業を行うとの話です.

閉店という苦渋の決断を下すライブハウスがニュースになっていたりもしますが,当面の資金流出を抑え,次に向けた力を蓄えるために撤退という選択をする想いの強さを感じましたね.

どこかで再開した時にはライブを見に行きたい場所です.

その他

営業再開しているライブハウスの対応や,実際に開催されたライブでの対応を見てみると,通常のキャパにもよりますが,定員を30~50人程度に絞っている場所が多い印象でした.

採算面ではギリギリどころかチケットだけでは赤字だとは思いますが,それでもライブをやろう,という心意気の面が大きいのだと感じます.

各種配信プラットフォームでライブ配信は行われていますが,やっぱりお客さんがいて,演者がいて,双方そろったあの空間には敵わないのは明白なので.

まとめ

ガイドラインが示されてから1か月程経過したライブハウスの現状を調べてみましたが,ガイドラインを考慮した場合に,採算面ではおよそ成り立たないような状況だと改めて感じました.

それでも各所対策を纏めて何とか営業しようと動き出している状況で,その対応を見る限りでは,細心の注意を払っていて,世間に染みついてしまったライブハウス=危険なイメージを何とか払拭しようとしているのが分かります.

個人的にはここまで対策できているのであれば,ガイドラインの緩和(特に集客面)での緩和を真面目に迅速に検討していって欲しいなと思います.

ライブハウスに集まる人の大多数は,着席だろうがマスクやフェイスシールド付けてようが,きちんと提示されたレギュレーションを守り,その範囲ないで楽しむ術を見出せるはず.

何よりステージ上に演者がいて,鳴らす音,魅せる動きにお客さんが呼応して,それを支えるスタッフさんがいる,あの空間でしか生まれないものがあることを知っているから.

自分も早くライブハウスに行きたいと思っていますし,行く時には決められたルールの中で全力で楽しみたいと思っているので,ライブハウスが,アーティストが,ライブを少しでもし易い環境になっていくことを切に願っています.

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